この記事は、語学・言語学・言語創作 Advent Calendar 2023の12日目の記事です。今日は……23日……? (申し訳ないです)
3年振りに自言語で言オリ風の問題を作ってみました。
過去作として、2021年1月にTwitterで公開したものもあるのでどうぞ。
以下に10個の立方数が与えられている:1, 8, 27, 64, 125, 216, 343, 512, 729, 1000.
これらを言語Aで表したものを、辞書順に並び替えた:
以下に回答せよ。
どれがどれに対応するか明らかにしなさい。
以下の3つの数表現は名詞avumú「卵」を伴っている。算用数字を用いて、「○○個の卵」の形で日本語に訳しなさい:
言語Aに訳しなさい:
10進法(20未満)と20進法(20以上)を混用する。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
su | pewa | ba | kai | yana | eşe | ineva | feule | suka | lu |
11から19は、1から9の語形に-luを付加して作られる。
20以上の数では、次の数詞を位取りに使う:
20 | 400 |
---|---|
dute | epuna |
これらを合わせて、数詞は位を下るように構成される:
(400の位の数) + epuna # (20の位の数) + dute + (1の位の数)
ただし、400の位の数と20の位の数は、1のときは位取り数詞だけで現れる。また、ある位の数が0のときは(位取り数詞ごと)脱落する。
400の位は、それ以下の部分とは別語を形成し、分かち書きされる。
基数詞に接尾辞-iを付加する。
数詞を構成する上で、二つの連声が生じうる:
まず、言語Aの母音(のうちこの問題に現れるもの)は次のとおり:
これらが連続したときは、何らかの連声(融合・脱落)が生じて母音連続が回避される。この問題に現れている範囲では、次の通り:
e | i | |
---|---|---|
a | ai | ai |
e | é | ei |
u | e | i |
ai | ai | ai |
これらは、次のように説明される:
a | e | u | i | |
---|---|---|---|---|
a | á | ai | au | ai |
e | eu | é | eu | ei |
u | a | e | ú | i |
i | a | e | u | í |
語中にきた有声破裂音(b, d)は、摩擦音(v, z)に弱化し、その通りに表記される。
最近の本家JOLはオンラインで開催されており、本番の問題文では不正防止のためか言語名が伏せられています。今回の私家版言オリもこれに倣った、と言って間違いではないのですが、実のところ言語名が未だに決まっていないというのが本当です(創作を始めてから4年半も経っているのに!)。「言語A」というのは、この言語で「言語」を意味する語apala[əpʌlʌ] の頭文字を採用したものです。